皆様
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
本当に久しぶりのブログ更新なので,緊張していますが,
元日ということで(?),刑事事件の国選弁護人と私選弁護人について
書いてみたいと思います。
刑事事件において,「国選弁護人は一生懸命活動してくれない」
「金が安いから仕方がない」等の話を少なからず耳にします。
弁護士はたくさん金をもらえば一生懸命仕事をするという一般市民の
方の認識があるのかもしれませんが,その認識は間違っています。
確かに,私選弁護人であれば,国選弁護人では活動しない範囲まで
やるという弁護士もいると思います。
しかし,私の周りでは,国選弁護人と私選弁護人とで活動内容を
分けている弁護士はいないですし(もしかしたら私が知らないだけ
かもしれませんが),少なくとも私はそのような意識を持ったことは
ありません。
神奈川県内の国選弁護人の選任は,機械的に配点がなされるシステムに
なっているため,場合によっては高齢の弁護士やあまりやる気のない弁護士が
就くこともあります。そのような場合には,「国選弁護人は活動してくれない」と
いう認識になると思いますが,それは国選弁護人だからではなく,その弁護人
個人の資質の問題であると思います。
決して「国選弁護人だから」ということではありません。
私個人としては,そのような弁護人は廃除したいのですが,実際上そのような
ことはできません。
以前私が国選弁護人として就いていた事件で,連日接見に行き,
裁判に向けて準備をしていたところ,被疑者の親が私選弁護人を選んだため,
私は解任となりました。その事件は被害者がいる事件なので,私としては
私選弁護人に払う弁護士費用があるならば,それを被害弁償に充てた方が
いいのではないかとも思いますが,結局理由も分からないまま私選弁護人が
就きました。このときは国選弁護人よりも私選弁護人の方が優秀でいろいろな
活動をしてくれるという誤解を感じざるを得ませんでした。
決して国選弁護人=手抜き・活動しない弁護人で,私選弁護人=優秀で,
きちんと活動してくれる弁護人ということではありません。その点は誤解を
しないでもらいたいと思います。
なお,仮に私選弁護人を選ぶとしても,費用面の負担を必ず検討して
みてください。
一刻も早く警察署から出してもらいたいという想いがあるのは分かりますが,
そのような想いを逆手に取って,私から見ても高額過ぎる費用を請求している
事務所があります。お金をたくさん払えばそれだけ効果を得られる可能性が
高まるということは絶対にありません。多少時間をかけてでも,ホームページ
等を見比べて最終的にいくら弁護士費用がかかるのか実際に電話をして
直接話をしてみるということをしてみてください。
弁護士 齋 藤 守