少し古い話になりますが,相撲力士の賭博行為により相撲中継を
行うか行うべきでないかという問題が生じたことは記憶にあると
思います。正確な数字は忘れましたが,世論の多くの人達は
中継を行うべきではないという意見だったと思います。
私はその意見を聞いて,日本人は自分達で人権を放棄してしまっている
と思い,その権利意識の低さに驚きました。
日本国の最高法規である憲法には,原則として国民全てが自由に
物事を表現でき,また自由に情報を受け取ることができ,それについて
妨害されないという権利が保障されています(21条1項)。
この権利により,国民が様々な情報を受け,自分自身で考え,その考えを
発信でき,そのような行為を通じてより人間らしく生きることができ,また
自分の国の政治等にも主体的に参加していくことができることになります。
しかし,悲しいかな日本人は何かというと「けじめ」や「おきゅう」という
言葉で,そもそも情報そのものの発信を止めさせようとします。
これは国民1人1人にとって不幸なことです。もしけじめをつけさせたり
おきゅうをすえたりしたいのならば,その番組なり情報を自分の判断で
受け取らなければいいだけの話です。発信自体を止めさせる必要は
どこにもありません。その人がそのテレビ番組等を見なければいいだけの
話です。でも多くの日本人は違うみたいです。
私は日本人の権利に対する意識の低さを危惧しています。
自分で自分の首を絞めていることに早く気がついて欲しいものです。
弁 護 士 齋 藤 守