2008年03月20日

取調の可視化

本日は出勤しております。

最近、えん罪事件の多発、裁判員裁判開始を控えての影響もあってか
取調状況を可視化せよという意見をよく聞くようになりました。
みなさんは取調の可視化と聞いて、「あー、取り調べられている人の状況を
録画・録音するのだな」と想像すると思います。
そして、その前提として、当然取調状況の全部、つまり全ての取調の、最初から
最後までを録画・録音するのだなとの理解があると思います。
しかし、その考え方は間違っています。少なくとも横浜では違います。
昨年、私は、刑事弁護委員会制度改革部会が行った、検察庁での録画・録音装置の
見学会に参加しました。
参加する前までは、検察庁もやっと取調の全面的可視化に踏み切ったのだな等と
今思うと安易に考えていました。
しかし、見学会と共に行われた説明会では、取調状況の録画・録音は、被疑者が
自白をした(自白に転じた)正にそのときではなく、後日改めて、「あなたは
先日○×の事実について自白しましたね」「はい、しました。」という場面を
録画・録音するというものでした。
取調の可視化は、密室での不当な取調による自白強要の危険性を排除するため、
そして、自白の任意性(自白が脅迫等によるものなのか否か)についての争いを
少なくするために行われるはずなのに、肝心の「否認から自白に転じたその場面」の
録画・録音がなされないとは驚きでした。
私は、今まで取調の可視化という言葉の意味を、自分の勉強不足のために
勘違いしていたのではないかと思い、見学会後、神奈川を代表する刑事弁護の
神様K先生に聞いてみたところ、やはり私と同じ認識を持たれていました。
世間に対しては、取調の可視化という響きのよい言葉を使用しながら、
実際はほとんど意味のないことを実行しようとしている検察庁。恐るべしです。

取調の可視化に興味や意見のある皆さん、今後は「取調の全面的可視化」を求めて
署名活動等の運動を行ってみてください。

  弁 護 士    齋  藤    守

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